第1897号2012年11月25日
「キャリア教育と学校の役割」について考えてみよう
教育研究所「未来の教育を考える会」 第7回ミニシンポジウム開催
10月20日(土)、教育研究所は「キャリア教育と学校の役割」をテーマに、清庵地区の小中学校教職員と保護者38人による第7回ミニシンポジウムを静岡労政会館(静岡市)にて開催しました。
「未来の教育を考える会」では、文部科学省によるキャリア教育推進についての学習や学校現場におけるキャリア教育の実践報告をもとに、キャリア教育についての話し合いを重ねてきました。
▲筒井美紀さん
今回は、法政大学キャリアデザイン学部准教授の筒井美紀さんに、「キャリア教育の現状と課題」と題して基調講演をしていただきました。筒井さんのご専門は、教育社会学、労働社会学。教育訓練や相談の現場だけでなく、自治体やNPOへの助成金の仕組みや関連法規なども含めて政治・政策全体を見ながら現場で起きている問題を追跡していらっしゃいます。義務教育の現場とは異なる視点からのお話は「キャリア教育」を考える貴重な機会となりました。
筒井さんの基調講演後、3つの分散会に分かれて議論をしました。どの分散会においても、保護者、教職員、研究者などそれぞれの立場から活発な議論が交わされました。
=参加者の感想より=
- “キャリア教育”という言葉、捉え方の広さ、なんでもありとまでは考えていないが、今までの実践をキャリア教育にむすびつけて、振り返り整理していくことは、自然な考え方であると思います。(教職員)
- キャリア教育という言葉は数年前から現場におりてきました。生き方の教育ということで、小学校では地域の人とふれ合ったり、働く人から話を聞いたりして自分の将来に役立てていくことだと改めて感じました。いろいろな教科や行事の中で、キャリア教育が行われていることを知りました。(教職員)
- 「キャリア教育って何?」とわからないままの参加でしたが、普段やっていることが将来的に生きてくるとのこと、気が楽になりました。いろいろな人と関わって経験していくことが大切だと感じました。(保護者)
基調提案「キャリア教育の現状と課題」
(1)問題の捉え方が問題である
「最近の児童・生徒はどうして働くことに興味を持てなくなったのか?」→「かつての子どもたちは興味があった」という認識が前提だが、本当にそうだったのか?
(2)小中学校の「キャリア教育」って?
- 人によって「キャリア教育」の意味や力点がちがう。
- 「何でもかんでも『キャリア教育』」の考えには賛成できない。
- 小・中学校…社会生活に必要な人格形成や将来の目標など自己実現のリンクが扱われている。
- 高校・大学…労働(法)教育や社会制度など制度的関係を扱う必要がある。
- 文科省のいう「キャリア教育」(生き方指導)と「労働(法)教育」を使い分ける必要がある。小学校でことさら「キャリア教育」という言葉を使う必要があるのか?
(3)ジェンダー教育とキャリア教育のつながり
「これは男性の仕事」「これは女性の仕事」「それは男らしくない」「これは女らしくない」という捉え方をしていないか?
どんな生き方をしたいか、どんな生き方を子どもに考えさせたいか、社会をどうしたいか、ということが大事。