第1895号2012年10月25日
子どもたちにしあわせな未来を ―守ろう 平和・教育・人権―
第37回母と女性教職員の会静岡県集会

「第37回母と女性教職員の会静岡県集会」が、10月13日(土)島田市立六合小学校で開催されました。集会には、県内各地から、保護者・教職員・退職された女性教職員など、男女合わせて総勢420人が参加しました。

全体会では、鈴木伸昭執行委員長が、静岡と縁の深い井上靖さん作の「わが母の記」から子の母親に対する思い、子を思う母の姿、家族相互の理解と協力にふれ、「子どもの姿はその時代の大人の姿、社会の姿を映し出すものであり、社会全体が互いに違いを認め合い、ともに生きていく事のできる社会であるかを検証するひとつの指標でもあります。本日のこうした会において、子どもの表れや子どもとの関わりを通した悩み等を共有し語り合うことが、子どもたちに一層寄り添う姿勢へとつながっていくのではないかと思いますし、願うことでもあります」と述べました。また、来賓を代表して、松田宏島田市教育長と佐野愛子県議会議員が挨拶をしました。

大塲知子県女性部長は、基調提案の中で、「『子どもたちに平和で平等な未来を』は、いつの時代にあっても変わることのない社会の願いであり、子どもたちに夢と希望に満ちたゆたかな未来を手渡すのは私たち大人の責任です。保護者と教職員が思いを共有し、心のつながりを深め、連帯の輪を広げていきましょう」と呼びかけました。

その後、難聴のピアニスト宮本まどかさんが、「風のレッスン〜私とピアノ〜」という演題で講演をしました。

午後は、「保護者と教職員のむすびつき」「両性の自立と平等」「平和国際連帯」等、参加者が13の分科会に分かれて活発な意見交換をしました。

講演「風のレッスン〜私とピアノ〜」

宮本まどかさん

「生まれたときから耳が聴こえない神経性高度難聴である私とピアノとの出会いは6歳。母親が言語・聴能(ちょうのう)訓練と同時にピアノをすすめたのがはじまりでした。初めて鍵盤をたたいたとき、指を介して伝わってくるその振動に心が震えました。音は聞こえないけど、感じられると知り、嬉しくて、嬉しくて、懸命にピアノをたたきました。家でのレッスンは常に母親といっしょでした。音符は母親が作った特製楽譜を見て、リズムは母親に肩をたたいてもらっておぼえていきました。チューリップを習得するまでに、なんと1年もかかりましたが、練習をしていくうちにピアノの魅力にすっかりとりつかれていました。嬉しいことがあったとき、つらいことがあったとき、ピアノに向かって語りかけました」と話す宮本さんは、生まれながらに聞こえないということと聞こえないがゆえに起こる数々の問題と向き合ってきました。ピアニストとして大活躍されている今、これまでの自分を振り返って、こう話されました。「私のそばには、常に母がおりました。私がこうしてあるのは、母のおかげです」と。

宮本さんは、子どもは親の思いを感じて育っていること、親の存在は子どもにとって重要であることについて話されました。親として、教職員として、子どもを思い寄り添っていこうと参加者一同で再確認することができました。また、宮本さんは、『チューリップ(編曲)』『月光』『エリーゼのために』等をピアノ演奏しました。宮本さんの熱い語りと強い思いが奏でるピアノ演奏は、参加者の心に響きました。