第2033号2018年7月25日
STUコラム 子どもたちの命を守るために

6月18日に発生した大阪北部地震の被災者にお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方に謹んでお悔やみ申し上げます。日常の生活を突然襲い、一瞬のうちに人命と財産を奪ってしまう地震の恐ろしさを改めて感じさせられました。また、学校のプールの外壁の下敷きになって亡くなられた三宅璃奈さんに対しては、教育関係に身を置く者として、悲しみだけでなく無念や憤りも混ざった複雑な思いに駆られました。

地震翌日の19日、大阪を中心に余震が続き、新たに犠牲者が発見されたとの報道がされている中、一瞬耳を疑うようなニュースが飛び込んできました。

−藤枝市で下校途中の小学生が襲われ重傷、学校侵入容疑で男を逮捕−

逮捕されたのは18歳の少年ということは発表されましたが、動機や犯行に至るまでの経緯等は未だ明らかになっていません。報道では「学校に恨みがあった」等の憶測は流れていますが、事件との繋がりを説明するものとはなっていないと感じます。被害に遭った小学生は快方に向かい、小学校の子どもたちも日常の学校生活を取り戻しているとの知らせを受け、私自身も少し落ち着きましたが、今回の事件を「少年」個人の問題で終わらせてはいけないという思いがあります。

事件当日「少年」が向かった小学校では、既に不審者情報が入り、当該校の職員が侵入を防ぐため対応し、その結果犯人は逮捕されました。私がその場に居合わせたならば、どんな凶器を持っているのか、どんな精神状態かもわからない不審者に立ち向かうことができたであろうか−考えさせられました。子どもたちを守らなければという使命感が職員の行動に繋がったのだろうと推察されますが、果たして学校の安全は、教職員の使命感だけで保障されなければならないものなのでしょうか。事件の第一報を受けたとき、私は大切な仲間を失っていたかもしれないという思いに駆られ、茫然としました。

2001年6月、大阪教育大学付属池田小学校で発生した小学生無差別殺傷事件は、社会に衝撃を与え、その後全国的に学校の門扉は閉められ、来校者のチェック体制は強化されました。子どもたちの登下校も地域住民等の協力を得て「見守り隊」組織が結成され、交通安全だけでなくコミュニケーションにも役立っています。通勤途中に黄色のベストを着た見守り隊の方を見かけると頭の下がる思いです。見守り隊の中には警察OBなど訓練を受けた方もいるでしょうが、多くは普通の方々です。教職員も講習会等で不審者対策について研修していますが、本格的な実技訓練を受けた者など皆無に等しい状態です。学校は子どもたちの命が集まる場所であり、国内外問わず「標的」になる可能性がある場所です。侵入防止対策や通報・警備体制等の強化を強く求めずにはいられません。

追 西日本豪雨で被災された皆様にお見舞いを申し上げるとともに、多数の犠牲者のご冥福を心よりお祈りいたします。

(静教組書記長 赤池 浩章)