第2020号2018年1月10日
働き続けるための働き方改革

静岡県教職員組合
中央執行委員長
鈴木伸昭

あけましておめでとうございます。

昨年は結成70周年を迎えるとともに、政令市への権限移譲により新たな連合体としての「静岡県教職員組合」がスタートしました。組織にとっては大きな節目の年となりましたが、役員及び組合員の皆さんをはじめ、関係団体の皆さんにも理解と協力をいただくことにより、順調な運動推進並びに円滑な組織運営がすすめられています。この場を以て改めて感謝申し上げます。本年も引き続き、子どもたちのゆたかな学び、教職員にとって安心・安全で働きがいのある職場づくりに向け、共に頑張ってまいりましょう。よろしくお願いいたします。

さて、昨年は社会的な課題として「働き方改革」が話題になりました。時間外労働に罰則付の上限規制を措置することを、政府・労働者団体・経営者団体の代表者が合意し法制化に一歩踏み出しました。一方で、政府は一定の収入を超える労働者には残業代を支払わない「高度プロフェッショナル制度」を設けようともしています。今月下旬に開会する通常国会において法案審議が始まりますが、その成り行きを注視しなければなりません。この法制度の対象から公務員は外されていますが、教職員の長時間労働も公の課題として議論の遡上に載せられました。中教審では長時間労働対策の検討がすすめられ、昨年末には中間まとめが大筋で了承されました。県内においては「未来の学校『夢』プロジェクト」2年目の成果を検証し、最終年度となる次年度は、その成果を県下に波及させていくことが企図されています。

各学校の職場においても、働き方の見直しは話題として挙げられ、濃淡はあれ何らかのとりくみがすすめられているのではないでしょうか。社会が教職員の多忙・長時間労働を問題として取り上げ、改善を後押しする雰囲気がある中、この機を捉えて主体的に見直し・改善を図っていくべきです。これまで、そして今も学校は、社会からの要請を際限なく抱え込んできています。機を逸すれば現状を変えることは今よりも難しくなります。多忙・長時間労働対策は、根本においては定数改善と業務削減が必要であることは言うまでもありませんが、今は私たち自身も職場のあり方を見つめ直し、課題を共有して働き方を見直す時です。

その際は働き方を見直す目的を共有することが不可欠です。心身の健康を維持するため、時間的ゆとりを得て余暇を楽しむため、家庭生活を大切にするため等、どれが正解かを限定せずとも共通理解を図ることが重要です。そして、これからはその目的の一つに「働き続けるため」という視点を付け加える必要があるのではないかと私は思っています。少子高齢化がすすむことによって、労働力の不足が生じる一方で、40代50代は介護に従事する必要のある人が増えます。今でも介護や子育ての両立に苦労している人、両立の難しさ故に職を辞する人が決して少なくありません。その数はこれからますます増えていきます。子育てもできる環境が整わなければ、少子化はますます進行します。そうした中、今のように長時間労働が当たり前のような状況で両立が図られるでしょうか。さらには、公務員の65歳定年を視野に入れた制度検討も始まっています。大変さを抱えながらも働き続けることができる、すなわち「持続可能な労働環境」を整えていく必要があるのです。今も実直に働いている方には厳しいことではありますが、現実と向き合わなければならないことも事実です。こうした中だからこそ、互いを気遣い、支え合う職場づくり・社会づくりの観点が重要なのです。