第1964号2015年9月10日
第18回オーストラリア教育体験視察と交流の旅

学校訪問・教育交流を通して、子どもや教員の実態を知ったり、教育システムや教育内容等を学んだりしながら視野を広げ、自身が豊かな体験を得ることで教職員としての力量を高めることを目的に、「オーストラリア教育体験視察と交流の旅」が行われました。静教組(STU)とオーストラリア教育組合(AEU)ビクトリア支部との教育交流は、今年で18回目となります。今回は、静教組梶原利彦書記長を団長に、STUから19人が参加しました。

南半球にあるオーストラリアでは、冬が終わりに近づき、国の樹であるワトルがあちらこちらで黄色い花を咲かせ、春の訪れを告げていました。

団員は、ビクトリア州都メルボルンから約150km内陸に入ったベンディゴを中心とした地域で2泊3日のホームステイと学校訪問をしました。その後メルボルンに移り、AEUビクトリア支部との教育交流を行いました。私たちと同じ立場であるオーストラリアの教職員と語り合ったり、オーストラリアの自然・文化に接したりするなど、数々の貴重な体験をした8日間の旅でした。

=ホームステイ=

メルボルンから車で約2時間のところにあるベンディゴという町周辺で、教員のお宅に2日間ホームステイしました。ベンディゴはゴールドラッシュで賑わった町で、金鉱跡が残っています。自然豊かでのどかな場所であり、カンガルーなどの野生動物を見ることができます。

はじめは不安そうだった団員も、ホストファミリーに温かく迎えられ、最後には抱き合って別れを惜しむといった光景が見られました。言語や文化、生活習慣がを超えて、相手を思う心や関わり合おうという気持ちがあれば、互いに心が通じ良い関係を築くことができると感じた団員も多くいました。

=学校訪問=

ホストファミリーの勤務校を中心に訪問しました。日本の小学校にあたるプライマリースクールや中学・高校にあたるセカンダリースクール、特別支援学校に分かれ、授業や学校の施設を見学しました。

1クラスの人数は20人程度と少なく、教員も子どもたちもゆったりとした雰囲気で、学習にとりくむ姿が見られました。子どもの感性や思いを大切にしながら、一人一人のニーズ応え、将来の自立につながる教育課程や授業を見て取ることができました。自由な雰囲気の中にも規律があり、日本の教育と共通する部分も多くありました。

見学だけでなく、実際に授業を行った団員も多く、折り紙を教えながら日本文化を紹介したり、毛筆で名前を書いたりしながら子どもたちと交流しました。

=教育交流会=

AEUビクトリア支部において、教育交流会を行いました。

全体会では、ビクトリア州教育省コリン・ブルックス大臣や羽田恵子在メルボルン日本国総領事から温かい歓迎のご挨拶をいただいたあと、AEUからビクトリア州の教育制度や学校協議会等についての説明を受けました。

2つに分かれての分散会では、「それぞれの国が抱える教育課題について」をテーマに、訪問したオーストラリアの学校の状況と自分の学校のとりくみを比較しながら、意見交換をしました。特別支援教育や教育予算等共通する課題も多く、時間いっぱいまで熱心な協議が続きました。それぞれ課題を抱えながらも、子どもたちのために教育にとりくむ教職員の思いは同じであることを互いに共有しました。

団員の感想

  • 保護者への対応、特別な支援を要する子どもへの対応、いじめ問題など、日本の教育現場と同じような課題を抱えているのだとわかった。課題は同じでも、解決方法は異なるものもあり、自分の視野を広げることができた。
  • ホストファミリーから人生を豊かに生きる姿を教わった。いつも笑顔で誰にでもフレンドリーで、食べることやコーヒータイムを大切にし、家族を一番に考えているところが尊敬できる。