第1959号2015年6月25日
第102回静教組定期大会 〜静岡の教育の未来を語り合う〜

6月5日(金)、第102回静教組定期大会を静岡労政会館で開催し、2015年度の運動方針・予算などが承認されました。大会には、来賓として連合静岡の中西清文事務局長、県P連の川ア秀和会長、佐野愛子県議会議員など31人の方をお迎えし、各支部からは代議員241人(内女性76人、女性参画率31.5%)が出席しました。2015年度運動方針の質疑・討論では、数多くの質疑や意見が出され、熱い議論が交わされました。

執行委員長あいさつ(要旨抜粋)

〜平和な社会に向け、健全な批判力と必要な意思表示を〜

今年は様々な場で「戦後70年」という言葉が見聞きされる年です。「戦後何年」と敢えて節目であることを強調するのは、歩んできた道を振り返り、薄れがちな意識を呼び起こすことで、再びすすむべき方向性を見極める機会を多くの人に投げかけるためです。今、時の権力が危うい方向に前のめりであることに危機感をもつ必要があります。集団的自衛権行使を容認する昨年の閣議決定から、5月に「平和安全整備法案」と私たちにとっては理解に苦しむ名の法案が提出され、審議が始まっています。これまで一貫して武力に頼ることのない平和国家として、その姿勢を国内外に示すことによって評価を得てきた日本の姿を大きく転換させる事態に直面しています。武力で平和を紡ぐことはできません。今も地球上のどこかでは戦争や内紛があり、途絶えることがありません。いずれも終わりなき報復の応酬が続き、その陰で一般市民、特に女性や子ども、高齢者が悲惨な生活を余儀なくされています。平和であることの幸せを確かめ合い、争いのない社会とするために健全な批判力を高め、必要な意思表示をしていかなければなりません。同時に教職員組合ができることとして、次代を担う子どもたちに平和の大切さを語り伝えること、そして平和を生み出す力を育んでいくことに努める必要があります。反戦教育にとどまらず、身近なところから、もめ事や争い事の先にあることを想像できる力を身につけ、問題を平和的に解決していく力を育んでいくことです。平和教育は決して大上段に構えることなく、誰にでもできるものです。

〜地公法改正に伴う教職員評価結果の活用に向けた制度設計は十分な労使協議が不可欠〜

2014年4月の地公法改正により、教職員評価の結果を任用・給与等に活用することが義務付けられました。2016年4月の施行に向けた交渉・協議が今年度の大きな課題です。従来と同様に「教育の成果は短期的な表れだけで評価することになじまない」「教育活動は教職員間の協力・協働関係によって成り立つ所が大きく、その関係を損なうものになってはならない」という基本的な考え方に立ち、その上で、法制度上避けられないことに対しては、十分な労使協議の場を求め、制度設計に関与していきます。2004年2月の「静岡県人事管理システム研究協力者会議」の設置から、静岡県における教職員評価制度の検討は始まりました。協力者会議の報告に基づく制度設計にあたっては、「教職員の資質能力の向上」と「学校組織の活性化」という目的につながるかという「合目的性」を始め「透明性」「公正公平性」「客観性」「納得性」の5原則に対応できることと「意見の申出機関の設置」「労使協議による制度設計と検証」の2要件の必要性をもって、県教委と交渉協議を重ねました。結果として、評価の視点と対象となる業務を事前に明確化すること、評価実施後は面談の上で評価結果を開示すること、十分な評価者研修を実施することなどが盛り込まれました。その後も実施状況と問題点の把握に努め、繰り返し制度改善への意見反映に努めました。そのことにより、制度の運用は徐々に改善されてきています。制度設計と円滑な運用は十分な労使協議があってこそ実現するものです。加えて、よりよい教育をめざすためには教職員定数増や多忙解消等を含めた教育条件整備が必要であり、評価制度だけに目を向けた議論とならないように留意しなければなりません。むしろ評価制度が多忙を促進し、本来業務を圧迫する背景となっている側面もあることも踏まえ、制度の目的達成と絡めて、総合的な教育条件整備をどうすすめるかという視点での対応をしていく必要があります。