第1958号2015年6月10日
学校・家庭・地域が一体となって 委員長・県P連会長対談

▲県P連・川ア秀和会長と静教組・鈴木伸昭委員長

5月25日(月)、学校・家庭・地域のあり方について、静教組鈴木執行委員長と静岡県PTA連絡協議会の川ア会長が対談を行いました。地域コミュニティの重要性が求められている中、それぞれの立場から様々な意見交換が行われ、大変有意義な対談となりました。

「本物」を通して育みたい

鈴木:

私が教員になりたての頃にALT(当時はMEF)という制度が始まり、子どもたちが生の英語に接する機会ができました。実は教員よりも子どもたちの方がすぐに慣れ、興味関心をもつ大きなきっかけになりました。やはり、本物に触れる・出会うことが大切だということを感じました。

川ア:

私の勤務するグループに属する熱海市のMOA美術館では、毎年全国児童作品展を開催し、国内外から45万点が集まる日本一の児童作品展になっています。ただ鑑賞するだけではなく、そういった創作活動をすすめる中で、芸術に親しむ機会をつくって美育(情操教育)の場を提供しています。

鈴木:

残念なことに、現在の学校の中では、芸術のようなものに目を向けるゆとりがないように感じます。目に見えやすい結果ばかりに力点が置かれてしまうと、感性のようなものは軽視されがちになってしまう。バランスを大切にできる雰囲気を大人がつくっていかなければならないですね。

子どもの生活の主体は子ども自身

川ア:

昨年から携帯・スマホのルール作りにとりくんでいます。これは、やはり家庭で考えていく問題だと思います。買い与えているのは親ですから。

鈴木:

学校としてできること、家庭としてできることを互いに確認していくこと、そういう話をどうやってしていくかということですよね。

川ア:

豊かさと便利さが子どもたちに与える影響はとても大きいですね。私たちが子どもの頃とは生活環境もコミュニケーションの形も随分と変わりました。今の時代の子育ては、昔に比べて非常に難しくなっていると思います。今大事にしたいのは、子どもたち自身でルールを作っていくことかなと思っています。

鈴木:

本来はそうなんですよね。かつて、中学校で髪型などの校則の見直しが行われた時期がありました。当時の教職員は、校則が変わることでどうなるのかという不安がありました。でも、そこを子どもたちに考えさせることで、どういうルールが必要なのか、それはどうしてなのかと、自分たちの課題や責任を考えるプロセスを経験させることが大切だとわかりました。

すべては「子どもたちのために」

川ア:

給食費や校納金の未納をはじめ、町内会に入らず、自治会費も払えない家庭が増えてきています。そういった家庭が地域から孤立し、そこで苦しんでいる子どもたちがたくさんいます。親力・家庭教育力をもう一度見直し、学校・地域の協力のもとで何とかしていきたいと思います。

鈴木:

PTAも組合も、みんなで少しずつ負担を担いながらやっていきましょうという意識が大事だと思います。ただ、大切なものは残しつつも、今の時代に合わせた柔軟性も求められるところだと思います。

川ア:

働き方も多様化していますので、役員会をいつどうやって開くのか、役員をどうやって決めるのか等を時に応じて考えていく必要もありますね。難しいのは、私たち役員の立場になると、どうしても単Pの活動が遠くなってしまいがちだということです。誰のための活動なのか。しっかりと原点に立ち返って、家庭や地域にいる子どもたちのことを考えなければといつも考えています。

鈴木:

静教組にとっても同じです。子どもたちが楽しく学校に通えること、そのために教職員が仕事に専念できる環境を作るということが、私たちの活動の軸となるところです。

川ア:

本当に今、学校の先生は大変だと思います。「PTAは学校の最大の応援団」。保護者とともに学校を支えていきたいです。そして、それが子どものためになると考えています。

鈴木:

ありがとうございます。学校はどうしても多くを抱え過ぎてしまうようなところがあります。学校・家庭・地域がうまくバランスをとれるような、そういう関係を築けていけるといいなと考えています。