第2096号2021年4月25日
静教組立教育研究所所長 挨拶 「今、必要な力…」

静岡県教職員組合立
教育研究所所長

内田いず美

先日、地下道の階段の前で、重そうな荷物を持たれ、降りるのを躊躇されている方を見かけました。「大丈夫ですか」と声をお掛けしようとしましたが、一歩が出せませんでした。コロナ禍の中、「けげんな顔で拒否されるのではないか」そんな思いが頭をよぎりました。その時、後ろから来ていた高校生が「お手伝いします」とその方の荷物を持ち、階段を一緒に降りていきました。その自然な言動に、心が洗われ、すがすがしい気持ちになりました。悩んだ自分が恥ずかしくなりました。新型コロナウィルス感染症により、私たちの日々の生活は一変しました。人とのコミュニケーションも制約を受け、人間関係がギスギスしがちです。そんな中、あの高校生のような若者がどうやったら育つのかと考えた時、昨年、教育研究所「未来の教育を考える会」で木村泰子先生(元大空小学校長)がお話しされていた、「10年後を生きる子どもたちに必要な4つの力」の重要さを改めて感じました。

4つの力

(木村先生のお話より)

〇「人を大切にする力」
人は、一人では生きていくことができず、幸せにはなれない。人を大切にするから、一緒に生きていくことができ、幸せになれる。
〇「自分の考えをもつ力」
自分の考えは人と違って当たり前。周りに左右されず、自分の考えを持つこと、それが自分の生き方になる。
〇「自分を表現する力」
表現することで人との関わりが生まれる。表現は言葉とは限らない。
〇「挑戦する力」
どんな予想しない場面になっても、挑戦をする。

この4つの力は、「なりたい自分になるための力」そして「誰かと共に生きるための力」。

2021年度の教育研究所は、休止していた調査研究委員会を再開し、コロナ禍における教育活動の見直しの様子や、子どもたちと教職員の皆様の状況を調査しまとめていきます。本年度も、教育の発展と充実に生かすことができる研究所をめざします。どうぞ、ご支援とご協力をよろしくお願いします。