
第1873号2011年11月25日
これからの教育がめざすもの 〜子どもたちにつけたい「人間力」とは〜
=県教研 特別分科会 開催=
▲全体会
▲瀧ノ内さん
10月22日(土)・23日(日)に行われた第61次教育研究静岡県集会の第1日目に、「東日本大震災とこれからの教育がめざすもの 〜子どもたちにつけたい『人間力』とは〜」をテーマにした特別分科会を行いました。兵庫県教育委員会で立ちあげている「震災・学校支援チーム」(EARTH)に所属している小学校教諭 瀧ノ内秀都さんを講師に招き、保護者と教職員の25人で議論をしました。
EARTHは県立公立教職員とスクールカウンセラーら約150人からなる組織です。阪神淡路大震災後の2000年度から、震災等の災害が発生した場合に要請に基づいて被災地の教育復興を支援しています。今回の東日本大震災や中国の四川大地震などでも支援活動をしています。
瀧ノ内さん自身も阪神淡路大震災において被災し、その後の子どもたちを学校において見続けてきた経験をもち、さらに、EARTHでの活動を通して被災地支援を続けてきた観点からの話を聞くことができました。
瀧ノ内さんが示したこれからの子どもたちにつけたい「人間力」は、次の5点です。
- 自分の気持ちを語れる子
- 友達の話を聞ける子
- 集中できる子
- 自分の仕事を真面目にとりくめる子
- 自分の「何か」をもっている子
瀧ノ内さんの言う「何か」とは、「自分の持ち味」「他の人にはできないもの」「自分の存在感」「自尊感情」を意味するとのことでした。
こうした瀧ノ内さんからの話を受けて、その後の分散会では積極的な意見交換がなされました。
分散会Aでは、子どもたちにつけたい「人間力」として次の3点をあげました。
- コミュニケーション力、地域と関わる力
- 自分で課題や目標を見つけられる力
- 自分で判断して実行する力
「生きる力」とは「社会の中でともに生きる力」なのか「自分自身で生きていく力」なのか、改めて整理する必要があるということや、自尊心を高めることの重要性なども意見として出てきました。
また、分散会Bでは子どもたちにつけたい「人間力」として次の3点をあげました。
- 人間関係力
- 自主的に行動できる力
- 自らを律することのできる力、判断力
▲分散会
また、東日本大震災のことを風化させないように、事実や人々の経験を、子どもたち、そして後世にきちんと伝えていく必要があるという意見もありました。
議論の最後に瀧ノ内さんから2つ話がありました。
1つめは、この会で議論してきた「つけたい人間力」の育成は、学校で特別なことを始めようということではなく、これまでも私たちがとりくんできたことを「つけたい人間力」を意識した視点でどう見直すかということが大切であるということ。
2つめに、どの地域にも、その地域だからこそ求められる力というものがあり、全国一律にどんな力をつけたいのかを考えるのではなく、その地域では子どもたちにどんな力をつけたいのか…そこを考えていくことが大切であること。
瀧ノ内さんの話はたいへん示唆に富むものでした。東日本大震災の教訓を静岡でも生かすためにも、今後も議論を続けていく必要があると感じました。
2011年度は静教組立教育研究所の「未来の教育を考える会」においても、「東日本大震災から静岡の未来の教育を考える」という視点で議論をしています。今後、その議論についても皆さんに発信します。
