
第1850号2010年12月10日
教育研究所「未来の教育を考える会」 第4回ミニシンポジウム開催
子どもたちの『心』と『友人関係づくり』をさぐる

11月20日(土)、教育研究所「未来の教育を考える会」と「調査部」共同開催で「子どもたちの人間関係づくり」をテーマに、第4回ミニシンポジウムを長泉町南部地区センターにて開催しました。今回は、駿東地区の小中学校教諭と保護者を中心に38名でのシンポジウムとなりました。
「子どもたちの心が見えない」…いつの時代においても、親や教職員は子どもたちの心の中が見えずに悪戦苦闘してきたのではないでしょうか。私たち大人が子どもだった頃とのギャップがあることは当然ですが、これだけ社会の変化が速いと私たちはなかなか対応していくことができません。本研究所調査部が行った「子どもたちの人間関係づくりに関する調査」から今の子どもたちの心の中を、そして子どもたちにとっての学校、友だちの意味を探りたいという趣旨で開催しました。

▲元森絵里子さん
今回は、「『子ども』語りの社会学」(勁草書房)の著者、明治学院大学の元森絵里子さんに「『子どもの世界』をどう見るか〜社会の変化の中に教育の現場を位置づける〜」というテーマで基調提案をいただきました。
元森さんからは、学校教育の役割、戦後からこれまでの社会と教育の変化、保護者と学校の関係の変化、そして子ども世界の変化について多くのデータを提示しながら話していただきました。特に「生徒会誌」に表れる生徒たちの表現からその時代の子どもたちの友人関係を読み解く話は大変興味深いものがありました。
シンポジウムの中では、「キャラ」という言葉で表現される多様性を認め合いつつ、仲間の中でコミュニケーションをつないでいく今の子どもたちの楽しさと息苦しさ、親であること教員であることが難しい時代になってきたことなどが議論されました。
=参加者の感想より=
- 元森先生の話を聞いて、年代による子どもたちの特徴について再認識できました。それぞれの時代の子どもが大人になったときの世代間のギャップを読み解くキーワードにもなると感じました。(教職員)
- 時代の移り変わり、子どもの生活する背景は刻々と変化しているのだと改めて感じました。自分の時代と今の子の時代は違うということは常に頭に入れておくべきなのだと思いました。(教職員)
- 学校の変化については、社会環境の変化に強く起因しており、根本的には昔の状況と大きくは変わっていないと感じました。情報量の多い環境の中で子どもたちは大人が感じるよりも自分たちの社会を創りあげていることを感じました。(保護者)
- 先生方が子どもたちのことをとてもよく考えてくださっていることがよくわかり、有意義な会だと思いました。(保護者)
今回のミニシンポジウムのもとになった本調査部の「子どもの人間関係づくりに関する調査」報告書は本年度末に発行予定です。先に発信された「速報版」と合わせて、この報告書が職員室であるいは保護者会で今の子どもたちについて語り合うきっかけになってくれたら幸いです。
