
第1846号2010年10月10日
教育研究所「未来の教育を考える会」 第3回ミニシンポジウム開催
子どもたちの『最善の利益』のためにわたしたちができること

9月25日(土)教育研究所「未来の教育を考える会」と「子どもの権利条約推進委員会」共同開催で「子どもの権利条約から子どもの『最善の利益』を考える」をテーマに、第3回ミニシンポジウムをニッセイ静岡駅前ビルにて開催しました。
今回は、静岡支部を中心に小中学校教諭の他、スクールカウンセラー、教育相談員、養護教諭、事務職員31名が出席し、様々な視点から議論が展開されました。
ここ数年、DV、ネグレクト、経済的貧困などにより、「子どもの人権」が守られていない状況で育てられている子どもたちが学校の中には多く存在しています。こうした状況を受け、私たち教職員は子どもや保護者に対してどんな対応ができるのかという大きな課題を解決する糸口を見出したいと考え、今回のシンポジウムを開催するに至りました。
▲鳫咲子さん
今回は、「子どもの貧困白書」(明石書店)にも執筆者として関わった早稲田大学非常勤講師の鳫(がん)咲子さんに「子どもの貧困と就学援助制度」というテーマで基調提案をいただきました。
倒産・リストラ等経済環境の変化と離婚等による母子・父子家庭の増加などが理由で就学援助・生活保護を受けている小中学生はこの10年で約2倍(全国で約7人に1人の割合)となっている現状、静岡県は就学援助率・要保護率が全国平均より大きく下回っていること、後を絶たない虐待の背景には経済問題や社会的な孤立が大きな要因として存在することなど、鳫さんには「就学援助制度」の現状を切り口に「子どもの貧困」やそこから派生する諸問題をどうとらえ、どう解決に向かうかを多くのデータを提示しながら話していただきました。
シンポジウムの中では、教職員が関わることで保護者の社会的孤立を防ぐこと、子どもたちの変化に気づき、早期に適切な対応をするためにスクールカウンセラー・養護教諭・事務職員など学校にいるスタッフ間での連携を密にすること、積極的に学校外部機関との連携を図ることなどが議論されました。
=参加者の感想より=
- 私たち教員にできることは、子どもたちに寄り添い、その子が発するSOSをキャッチすること、また諸々の制度について知識をもって活用していくことだと思いました。(教職員)
- 子どもたちがシビルミニマム(最小限度の生活基準)に陥らないように制度を整える重要性を感じました。でも、それ以前に子どもたちはそれぞれ家庭環境を背負って登校していることをしっかり周りの大人が受け止めるだけでも救える子はいると思います。(教職員)
- 就学援助について他県の状況を知ることで、静岡県の状況がわかり、今後の関わり方について意識が変わりました。鳫さんが「非教授スタッフの充実」を語ってくださり、学校事務職員にとって大変心強く感じました。(事務職員)
今回のミニシンポジウムの詳細は本年度末に発行される「子どもの権利条約推進委員会報告書」に掲載予定です。今後も、研究所は組合員のニーズに合った内容をテーマにミニシンポジウムを県内各地で開催していきます。
