第1830号2010年2月10日
教育研究所「未来の教育を考える会」 第2回ミニシンポジウム開催

12月5日(土)教育研究所「未来の教育を考える会」主催で「貧困な環境におかれている子ども〜その現状と対策〜」をテーマに、第2回ミニシンポジウムを磐周教育研究所にて開催しました。

10月の田方支部での第1回目のシンポジウムに引き続き、今回は磐周支部を中心に西部ブロックの教職員と保護者に声をかけ、45名でのシンポジウムとなりました。

今回は、「子どもの最貧国・日本」の著者でもあり、神奈川県厚木児童相談所児童福祉士でもある山野良一さんに「現代の貧困と子どもたちの未来」というテーマで基調提案をいただきました。

▲山野良一さん

山野さんは国内外の様々な統計を提示しながら、OECD諸国に比べ日本は貧困率、その上昇率が高いこと、特にひとり親世帯では非正規労働、多重労働などの現実を抱え、貧困の連鎖も含め子どもたちに深刻な影響を与えていることなどを訴えかけました。こうした貧困の問題は個人の責任や能力が原因と見られがちですが、個人を非難するのではなく社会経済や政治的・政策的な問題などもっと大きな視点からこの問題を見る必要があると持論を展開しました。

また、研究所の「子どもの権利条約推進委員会」の2名の所員から教育現場からうかがえる子どもたちの実態について報告していただき、山野さんが語った日本社会の抱える問題点を具体像として明らかにすることができました。

その後、4つの分散会を開き、保護者や教職員、大学教授などそれぞれの立場から、「子どもの貧困」問題への思いや考えが語られました。

「子どもにお金をかけない日本」…日本の子ども7人に1人が貧困状態であると言われているにもかかわらず、この問題にあまりに無関心すぎる社会。「子ども手当」「高等学校無償化」など政権が代わり、ここに来てようやく注目されてきているこの「子どもの貧困問題」。山野さんからは、「教育の場で子どもたちや家族の背後にある生活実態、そのしんどさにもっと敏感になろう」「組合としても、苦しんでいる子どもたちの生の声を伝えていってほしい」という提言がありました。

=参加者の感想より=

  • 日本は豊かな国だと思っていたが、決してそうではない現状を知り驚きました。今後、少しでも状況が良くなっていくように教育にかかわることができればと思っています。(教職員)
  • 子どもの問題行動に対して、時として家庭がしっかりしていないからだと結論付けてしまう時がありますが、家庭の置かれている状況を理解することも大切であると感じました。貧困は思っていたより深刻であると思いました。(教職員)
  • 「子どもの貧困」について日本として、先進国と比較してなど大きな視点から考えることができました。「貧困」という言葉の中には様々な事例があり、経済的なものに伴う精神的、生育的な問題など二次的なものもあり、学校として、地域としてどう支えていくかが課題であることを改めて考えました。(保護者)
  • 学校での現状がよくわかりました。このシンポジウムはより多くの保護者の方に聞いていただきたいと思いました。(保護者)