
第1823号2009年10月25日
子どもたちにしあわせな未来を 第34回母と女性教職員の会静岡県集会

10月10日(土)菊川市立堀之内小学校で「第34回母と女性教職員の会静岡県集会」が開催されました。集会には、県下各地から、保護者・教職員・退職された女性教職員など、総勢約410人が参加しました。
全体会では、加藤委員長が、「世の中は、変化への期待感と一人一人の負う責任とが絡み合っています。不況や人間関係の不安が親から子どもへと伝わり、心模様がすさんできています。大人が子どもと一緒に悩み、未来を語ろうとすべき時がきています。子どもたちのひたむきさが世の中を進展させます。」と述べました。また、来賓を代表して、石原潔菊川市教育長と佐野愛子県議会議員が挨拶をしました。
鈴木弘美県女性部長は、基調提案の中で、「様々な子どもをとりまく状況を語るとき、母女誕生の55年前とはまた違ったことから子どもたちを守らなければと思います。そのために、保護者と教職員が未来の世代である子どもたちを中心にしてこれまで以上に心のつながりを深め、連帯の輪を広げていきましょう。」と訴えました。
その後、茨城大学生涯学習教育研究センター准教授の長谷川幸介さんが、「子どもの力と『地域・学校』〜くらべられる力とかけがえのない力」という演題で講演しました。
午後は、「子どもの健康と安全」「情報化時代の子ども」「保護者と教職員のむすびつき」等、13の分科会に分かれて活発な意見交換をしました。
子どもの力と「地域・学校」〜くらべられる力とかけがえのない力
茨城大学生涯学習教育研究センター
准教授 長谷川幸介さん

人は独りでは生きられない動物である。それゆえに子育てが必要になる。人間以外の他の動物は、自然に適応して生きている。しかし、人間は、自分が幸せになるために自然環境に手を入れた。これによって生まれた自然を第二の自然または社会とも呼ぶ。この社会に子どもたちをどう送ろうとしているかが重要になる。
子どもは、学校・家庭・地域という三角形の中をくぐりながら、文化化や社会化をしていく。学校では学力を、地域では、社会力(人と人がつながる力)を、家庭では自己肯定力(かけがえのない存在であること)をつけることが期待されており、そのバランスが大切だが、現在は学力をつけることだけに重きを置かれていないだろうか。
第2の自然(社会)には、「職」と「役」という2つの世界がある。「職」の世界は、地位や役職による比べる社会であり、「カチカチ時間」が流れている。一方、「役」の世界は、地域や家にあるかけがえのない人として受け止められる社会であり、「サラサラ時間」が流れている。大人も子どもも2つの世界を行ったり来たりして生きている。「役」の世界では、自分たちで切り拓いていく時間が流れており、「役」をどう広げられるか、新しい「役」をつけさせることができるかが重要になる。
子どもは、同化と調節を繰り返し、階段状に成長していく。同化の時期に、多様な体験、多様な人間的な関わりをすることが大切である。子どもに「役」を用意することで、周囲を明るくする力を発揮することができる。
どこかに向かって歩いていけば、いろいろなことが起こる。これが真実だと思うところに向かって歩いていくしかない。皆さん、道中お大事に。
