第1799号2008年10月25日
子どもたちにしあわせな未来を −守ろう 平和・教育・人種−
第33回 母と女性教職員の会静岡県集会

10月11日(土)「第33回母と女性教職員の会静岡県集会」が開催されました。集会には、県下各地から、保護者・教職員・退職された女性教職員など、総勢約440人が参加しました。

全体会では、加藤委員長が、社会の変化により親子関係の自立の時期が遅くなっていることに触れ、「子どもに生き方を示すことにより、親や教職員は自らの自己変革を促されている。命、心、健康、環境などのことを真剣に問い返さなければならない。」と述べました。

齋藤伸子県女性部長は、基調提案の中で、「子どもたち一人一人が、人権を尊重され、その子らしく生きていくことのできる社会の実現に向けて、まず、自分の思いをもち、互いに課題を共有し、学習を深め、学校で、地域で、連帯の輪を広げていきましょう」と訴えました。

その後、女性ライフサイクル研究所の津村薫さんが、「今からでもできる心豊かな子育て」という演題で講演しました。

午後は、「働く女性と家族」「共生」「自然・環境」等、13の分科会に分かれて活発な意見交換をしました。

心豊かな子育てのコツとは

講演要旨「今からでもできる、心豊かな子育て」

津村 薫 さん

「子育てに失敗しました。」と話す人が大勢いる。「私の子育ては完璧です。」という人に出会ったことがない。子育てに完璧はない。気づいた今日からできること、今からでもできることがある。

生涯発達の理論から考えると、子育ては、基本的信頼、自己コントロール、自発性をつみあげていくことであり、この土台をしっかり作っていると困難に立ち向かう力が強くなる。土台が弱かったら、さかのぼって補強していけばよい。

乳幼児期に大切なことは、他者への信頼、命への信頼、世界への信頼、人生への信頼、自分への信頼といった基本的信頼を身につけることであり、それは、程よくかわいがられることで身に付いていく。子どもが親を困らせた時は、子どもの気持ちを言葉にして共感してあげる。要求をすべて受け入れることはせず、気持ちに寄り添いながらも、いけないことはいけないこととして教えることが大切。自発性を育てるためには、無心になって遊ぶ経験を重ねること、年齢相応に選択権を与えて自分で選ぶ経験が必要である。

学童期は、共同社会への本格参入が始まる時期であり、バランスが大切になってくるので、ほどほどに良い子でほどほどに困らせる子がよい。

思春期は、外見や態度が生意気で一人前に見えたとしても、まだまだ大人の保護と支えが必要な時期なので、愛情や関心を手放すようなことをしないことが大切。

心豊かな子育てにするために必要なことは、よく話を聴くこと、長所に注目することが大切。子どもが生き生きと育つためには、心豊かに生きる大人の存在が一番のメッセージになるので、ストレスと上手につきあい前向きな子育てをしてほしい。