私の挑戦
牧之原市立萩間小学校 6年 松浦 百杏

 みなさんは、新しいことに進んで挑戦していますか?新しいことに挑戦する時、どんなことを考えますか?
 四月、担任の先生が、
「学校は自分たちで動かして、自分たちでつくるものだよ。やってみたいことは何?」
と言っていて、その言葉がとても印象に残りました。私は今六年生なので、今年で小学校生活が終わりを迎えます。これまでの小学校生活を振り返ると、みんなでお弁当を食べたことや社会科見学に行って楽しかったこと、勉強がわからなくて学校へ行くのがちょっと嫌だった日もありました。どれもいい思い出です。ただ、私たちが自分自身で考えて、それをやってみたことってあったかな、と思いました。私は、繰り返しの普通の生活では面白くないから、もっと新しいことに挑戦してみたくなりました。そして、先生の言うように、私たちがやってみたいことをやって、私たちが学校を動かして、私たちがこの学校を変えたいと思いました。
 しかし、そんな私の前に「伝統」という難しい問題が出現しました。私の学校には、昔から受け継がれてきたものが多くあります。
 例えば、委員会の活動です。昨年、委員会活動をしている時に「これはこういうふうにやるものだ。」という言葉をよく聞きました。私はその言葉を聞いて、「これまでこうやってきたから、同じようにやらないといけないんだ。」と思いました。そのようにやることが伝統で、伝統だから変えることができないものだと思っていました。
 私は今年、運営委員長をやっています。委員長全員を集めて、それぞれの委員会でどんな企画を考えているかを確認した時、「今までこうやってきたから今年もこの企画をやる」という考えの委員会ばかりでした。とてもつまらないと思いました。確かにこれまでの五・六年生が積み重ねてきた活動だから、同じようにやった方がいいのかもしれません。ここでやめてしまったら、伝統を途切れさせてしまうことになるかもしれません。難しい問題です。私は悩みました。運営委員会のメンバーとも話し合いました。たくさん考え、それでも、やっぱり私は、新しいことへ挑戦することに意味があると思いました。そこで私は委員長たちに、
「これだったら誰がやっても同じじゃん。私たちで新しい企画を作ってみようよ。私はもっと新しいことに挑戦してみたい!」
と、気持ちを伝えました。すると、他の委員長たちは、
「確かにそうだね。」
「百杏ちゃんの気持ちが伝わってきたよ!」
「自分たちで作っていこう。」
と、私の考えに賛成してくれました。そこから、全部の委員会で協力しながら、私たちらしい企画を考えていきました。企画には全校のみんなが協力してくれて、企画をやる前の学校よりも良い学校になったと思います。企画は大成功でした。あの時、自分の気持ちをみんなに熱く語って良かったと思うし、挑戦してみてよかったと思います。
 しかし、忘れてはいけないことは、「新しいことへの挑戦」と「伝統」どちらも大事ということです。新しいことに挑戦すると成長できるし、新しい自分になれます。「挑戦して失敗したらどうしよう。」「周りから何て言われるかな。」と心配になる人もいるかもしれません。だけど、今失敗しておけば、心が強くなって、これから大変なことがあっても乗り越えられる人になれると思います。だから、いっぱい挑戦して、いっぱい失敗した方がいいと思います。伝統にも良いところがあります。それは、昔から受け継がれてきたものということです。ずっと続いているということは、それだけ良いところがあるということだと思います。受け継いできた時間の分、多くの人の気持ちがこもっているのだと思います。
 運動会で踊るソーラン節は、この学校の伝統です。その伝統を引き継ぎながらも、私たちらしい演技にするために、これまでやったことがないようなものを考えました。コロナ感染症対策と残りの練習時間のことを考え、残念ながらその案は実現できませんでしたが、みんなで意見を出し合って考えたことがとても楽しく、そこから学んだこともちゃんとありました。だから、「新しいことへの挑戦」と「伝統」のどちらについても、考えていくことがとても大切だと思います。
 残りの小学校生活で、挑戦しなかった後悔ではなく、挑戦した達成感を味わいたいです。たくさんの伝統が残るこのすてきな学校で、私は新しいことにもっともっと挑戦していきたいです。伝統のよさにも向き合いながら、新しいことに挑戦し、私たちがこの学校にいた足跡を残せたらいいと思います。

新しいことへの挑戦と伝統との間で葛藤しながらも、よりよい方向を導き出すために必要なことを主張している素晴らしい作品。百杏さんの主張は、同じ思いを抱いている人に勇気を与えてくれます。新しいことをするためには思いだけではなく、行動することが大切であると改めて感じさせてもらいました。