第2080号2020年8月25日
第45回母と女性教職員の会静岡県集会・第70次教育研究静岡県集会を中止します

新型コロナウイルス感染症の拡大により、学校は約3か月間休校を余儀なくされました。再開後はこの間の「遅れ」を取り戻すため、多くの学校では教育課程を組み換え、中には週30時間の授業時数になっている学校もあり、子どもたちや教職員の健康面・精神面での過度な負担が懸念されます。感染症や自然災害など人々の社会生活を一変させる事態は、いつ起こっても不思議ではありません。ICTを活用した授業が注目されていますが、一斉授業における学びあいやグループ学習を大切にしてきた日本の学校教育の現状では、その教育的効果は限定的になっていると感じます。コロナ禍において顕在化した「学校教育の持続性」について議論し、必要な条件整備を総合的にすすめていくことが求められていると考えます。

一方、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、感染者やその家族等に対する誹謗中傷やいじめなどの人権侵害が社会問題となっています。また、感染拡大地域の県外ナンバーの車に傷をつけたり、SNSで事実誤認の情報を流したりするなど、社会全体が‘副次的な病魔’に侵されていると言っても過言ではありません。さらに世界に目を向けると、自国第一主義の政策が優先され、米中間の関係悪化など国際問題に陥る状況となっています。この現実を子どもたちはどのように見て、どう感じているのでしょうか。そして、私たち教職員は、子どもたちに何を伝え、どんな学びを求めていくのでしょうか。

このような状況ゆえ、教職員どうしの意見交換や保護者等との対話が重要であると考え、静教組は「第45回母と女性教職員の会静岡県集会」と「第70次教育研究静岡県集会」の開催をめざしてきました。母と女性教職員の会静岡県集会については、昨年度、台風の襲来により中止になったため、2年振りの開催にむけ実行委員会を中心に諸準備をすすめてきました。また、第70次教育研究静岡県集会については、開催支部である沼津支部と協議を重ねながら、開催方法を変更しての実施を視野に準備をすすめてきました。

しかし、新型コロナウイルス感染症は未だ収束の兆しを見せず、県内においても新たな感染者が増加している状況です。両集会とも県内外から教職員、保護者、研究者等が参集するため、感染リスクを排除することが困難であると判断し、今年度の開催を中止することといたしました。諸準備にご苦労いただいた皆さまやリポート作成に携わってくださった皆さまには、申し訳ない気もちでいっぱいですが、ご理解いただければ幸いです。

「新たな生活様式」の浸透やワクチンの開発等により、1日も早く感染症の拡大が収まり、多くの人々が集い、子どもの学びや子育てについて語り合ったり、日々の実践に基づいた研究協議がなされたりする日が来ることを願いたいと思います。

中央執行委員長 赤池浩章