第2076号2020年6月25日
第107回静教組定期大会 〜子どもの学習権と安心・安全な学校を保障する〜

中央執行委員長あいさつ(要旨)

赤池浩章
中央執行委員長

新型コロナウイルス感染症の拡大は、感染者に対する誹謗中傷や医療従事者の家族への偏見など、差別や社会の分断、人権侵害などの問題を引き起こしています。ウイルスという目に見えないものに対する恐怖や不安により、人々の間に疑心が蔓延し、本来大切にされるべき「共生」や「共存」の考え方が失われつつあります。このような社会の状況が貧困・格差の拡大、虐待やネグレクトの増加、また進学を諦めざるを得ないなど、子どもの人権や学習権に影響することが懸念されます。現在、政府や各自治体は経済再生を最優先課題として次々に補正予算の編成にとりくんでいますが、学費や給食費等の教育費の私費負担軽減に関する議論が十分ではない状態です。私たちは、日教組や連携する議員とともに必要な声をあげ続けていきたいと思います。

コロナウイルス感染症の第一波が収束状態にあり、各学校では、いわゆる「3密」を避け、感染リスクをできる限り少なくしながら教育活動を行うため、学校の実情に応じた対応策が検討されています。今後、想定される状況はもちろんのこと、想定外の状況に陥る可能性もあり、まさに“正解のない”判断が教育委員会や学校には求められることとなりますが、静教組は子どもの学習権と安心・安全な学校を保障することを基本に対応していきます。

学校における働き方の見直しについて、子どものゆたかな学びを保障する視点が重要であると考えます。県内では単独措置による少人数学級の拡充が図られ、一定の成果を認めています。一方で、もち時数の増加や担任外教員の不足等の課題は、少人数学級の拡充とともに深刻な状況となっています。そこで、静教組は長期的には30人以下学級の実現をめざしますが、当面は、義務標準法改正による定数改善やスタッフの拡充に重点を置いてとりくんでいきたいと考えます。また、小学校高学年の教科担任制については、義務教育のあり方に関する重要な検討課題であり、学校現場はもちろんのこと、保護者や教育委員会等との協議を重ねていきたいと思います。

学校の業務は、子どもの学びや成長に深く関わるものであり、また長年、学校文化に根付いてきたものも多く、なくすことができない活動が多くなっています。教職員の意識改革の必要性も指摘されていますが、日々の業務に追われる中で客観的に働き方を見直すことは難しいと考えます。そこで、学校の業務削減は教育委員会が主導し、学校以外で担うことができる業務を遂行する仕組みをつくる必要があります。そして、引き続き、学校が担うことになった業務についてはスタッフ等の拡充により対応すべきです。学校の業務削減は、教育全体における業務分担の見直しと新たな仕組みづくりが必要であるため、教育委員会をはじめ関係する団体との協議をすすめていきます。同時に、私たち自身も働き方の見直しを図り、職場における労働安全衛生体制の確立と協力協働の職場づくりをすすめていく必要があります。