第2034号2018年8月10日
専門部NOW 養護教員部編

Q1:「養護教員部」ってどんな活動をしているの?

A:「子どもの人権を大切にした学校保健・健康教育の確立」「組織拡大・強化」「職務・労働条件の改善」「専門職としての力量向上」を柱に活動しています。

●子どもの人権を大切にした学校保健・健康教育の確立

養護教員部実態調査を実施し、課題解決に向けたとりくみにつなげています。県や市町教委に対し、アレルギー対応、集団フッ素洗口・フッ素塗布、ゆとりある保健室運営のためのサポートなどについて改善を求めています。

●組織拡大・強化

専門職であると同時に少人数職種でもある養護教員は、職務について教わったり相談したりできる仲間づくりが大切です。組織率の高さは、要請・交渉の際にも「多くの養護教員の声」として説得力をもちます。経験の浅い養護教員にとって先輩教員とのつながりは力量向上にもつながります。組織拡大・強化は、とりくみの基盤となります。

●職務・労働条件の改善

養護教員部実態調査は、組合員以外の方も含めたすべての養護教員を対象として実施しています。その結果をもとに課題を精査し、県教委要請行動(9月・10月)や養護教員部独自の要請行動(12月)で、県教委や県健康福祉部に対し職務・労働条件の改善とフッ化物の集団使用に関する課題の改善を求めています。市町においても、各地域の課題改善に向け、単組・支部の養護教員部長を中心に活動しています。

●専門職としての力量向上

毎年、県下各地の養護教員が集まり、各単組委員長・支部長を交え「静教組養護教員部研究集会」を開催し意見交流をしています。今年度は9月7日に実施します。さらに、子どもと健康研究フォーラム(8月)等の全国規模の研究集会に積極的に参加し、力量向上に努めています。

Q2:どんな課題を抱えているの?

A:養護教員の全校配置・複数配置、学校保健安全法改正に伴う健康診断の実施、食物アレルギー疾患への対応、学校における集団フッ素洗口・フッ素塗布を始め、多岐にわたる課題が山積しています。

●全校配置・複数配置

現行の法律では…

  • 3学級以上の小中学校に養護教員1人の配置
  • 養護教員の複数配置基準 小学校851人以上 中学校801人以上

養護教員の果たす役割の重要性から市町単独措置で養護教諭補助員や保健室サポート員を配置している市町があります。しかし、600人、700人の子どもたちの対応を養護教員1人で対応するには、限界があります。

静教組は、養護教員を分校まで含めた全校に配置するとともに、複数配置を適正実施することを県・政令市教委に求めています。また、複数配置基準の引下げ、配置基準を満たさない大規模校への養護教員の加配を検討するよう求めています。2018年度は、スクール・サポート・スタッフによる養護教員の業務支援が充実されるよう求めていきます。

食物アレルギー疾患への対応

2015年3月に文部科学省から「学校給食における食物アレルギー対応指針」が出されました。アレルギー対応校内委員会の設置やアレルギー対応食の献立作成から配膳までのチェック体制構築、緊急時を想定した実践的な研修体制の構築など、学校や調理場における対応マニュアルの整備と一層きめ細やかな対応が求められています。

静教組は、学校や調理場の人員や環境に合わせた安全な対応が可能となるよう、食物アレルギー対応の方針を早急に策定するよう県教委に要請しています。また、アレルギー対応を必要とする子どもが増えていることから、保護者との面談時間の確保が難しいこと、教職員どうしや医師との連携に時間を要する現場の実態を訴え、学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)運用の課題改善や医療機関等との連携、教職員の研修の機会の提供などを県や市町教委に求めています。

養護教員は、すべての子どもたちのいのちや健康に関わり、子どもたちの安全で安定した学校生活を支えています。近年、学校生活や多様な家庭環境などから心に問題を抱えた子どもが居場所を求めて保健室を訪れることが増えています。このことは養護教員だけの課題ではありません。学校全体の課題としてすべての教職員で理解を深め、協力してとりくみをすすめることが大切です。