第2006号2017年6月10日
第104回静教組定期大会 〜結成70周年を迎えさらなる運動推進を〜

中央執行委員長あいさつ(要旨)
〜結成70年 あらためて「参加・提言・改革」の運動推進を〜

鈴木伸昭
中央執行委員長

社会における様々な歪みが、いじめ・不登校や子どもの貧困といった形で子どもたちの命や健康、学ぶ権利を脅かし、心身の健康に影響を及ぼすストレスや社会問題化するほどの長時間労働が教職員を苦しめるなど、深刻な課題が浮かび上がってきました。深刻化する教育課題への対応や定数改善、教職員が安心して教育活動に専念できる勤務条件整備のためには、世論を背景とした運動を展開し、保護者や国民・県民から信頼される組織へと変容していく必要がありました。静教組は、時代の変化を的確に捉え、1980年代から「参加・提言・改革」型の運動にシフトしていました。このことが、このたび70周年を迎えることができ、これからも80周年90周年を迎えるための重要な転機であったと考えます。

その象徴となる運動が1990年代の学校5日制推進の運動です。学校5日制を単なる制度変更ではなく「教育改革としての学校5日制」として捉え、それまで学校が抱え込んできた役割を地域社会や保護者とともに共有し、子どもも学校内外における体験的な学びをバランスよく経験できるようにすることを重要な理念として位置付けた運動でした。県教委も教育論による5日制への移行の意義を認め、学校5日制の到来を予想した両者の協議により、学校の教育活動への影響が大きくならないようにすること、子どもたちが家庭や地域に親しむ機会を増やしていくことなどを意図して、県独自の休業日いわゆる「学期中途の休業日」を設け、年々増やしていきました。学校5日制は1992年から月1回第2土曜日を休日とすることでスタートしましたが、県内においては、その前年までに段階的に設けた年10日の学期中途の休業日がスライドする形で導入され、さしたる混乱なくソフトランディングできました。さらに、次の段階である隔週5日制そして後の完全5日制に向けても、教育課程や時間割のあり方等を主体的に研究し、提言・実践にとりくみました。また、家庭・地域における時間の過ごし方や学校・家庭・地域の役割について、シンポジウムを開催したり地域教育懇談会の話題に取り上げたりするなどしました。そうしたとりくみにより、県内の学校5日制への移行は形だけでなく、その中身も含めて円滑に行われました。学校5日制のあり方については、今、若干の揺り戻しが見られる中、県内においては、かつて時間をかけて議論してきたことが深く静かに浸透し、今も定着していると私は思っています。私たちを取り巻く環境が異なっている中、当時と同じことができる訳ではありませんが、その姿勢と考え方は受け継ぐべきものと考えます。直面する課題として、多忙・長時間労働への対応や教職員人事評価制度のあり方等は、こうした姿勢で対応すべきところがあります。今につながる過去を見つめ、過去の運動の歴史を大切な財産として受け継ぎ、さらには次の世代の為に何ができるかを考え、これからの運動に生かしていきます。