第2005号2017年5月25日
教育の未来を語り、創る教育研究所

静教組立教育研究所所長
大石茂生

私は、ゴールデンウィーク中に近くの中学校脇の道路を何度か通ることがありました。道路に面するグランドでは、野球部、サッカー部、陸上部の生徒たちが練習をしていました。お互いを励ます声が聞こえ、時折笑顔が見られ、顧問の先生も生徒といっしょになって熱心に活動していました。いい風景です。思わず、頬が緩みます。同時に、(あの先生の家族や子どもたちはさびしく思っていないかなあ。)(先生たち、連休中休みが取れたかなあ。体を休めないと。)ということがふと頭をよぎりました。

最近の新聞に、文部科学省の調査による教員の勤務状況が掲載されました。小学校教諭の34%、中学校教諭の58%が厚生労働省の言うところの「過労死ライン」に達しているというショッキングな報道でした。過労死ラインとは、週勤務時間が60時間を超えている場合に当てはまります。

教育研究所には、調査研究委員会があります。教育研究所としてこの委員会の調査と研究を通して、教職員の長時間労働について考えたいと思います。

ゴールデンウィークの祝日に憲法記念日があります。毎年のことながら、護憲派、改憲派の集会等の様子が報道されます。今年も例外でありませんでした。ただ今までと大きく違った点は、安倍首相が、「2020年を改正憲法の施行の年にしたい。」と改正の具体的なスケジュールに踏み込んだ発言をしたことです。今の憲法によって、国家のための国民から国民のための国家へとまさに民主主義国家へとなったわけですが、この矢印が逆になりそうな感があります。

教育研究所は、「未来の教育を考える会」という研究委員会の研究を通して、権利が限定された「臣民」から、主権者としての「市民」となるシティズンシップ教育を学校現場から推進したいと考えています。また、平和教育の推進、子どもの権利条約の根付く学校づくりをめざす研究を、学校現場での教育実践を土台にすすめたいと思います。

鈴木中央執行委員長は、静教組新聞クリエイティブ第2002号の中で、「組合運動は、『今を知り、過去に感謝し、未来を創る』運動です。」と述べています。教育研究所が果たす役割である教育研究活動もまさにそうです。教育の未来を語り、創る教育研究所としてスタッフ一同頑張ろうと思います。組合員のみなさまのご理解・ご支援をお願いします。