第2003号2017年4月25日
STUコラム 〜書記長編〜 第1回

新年度がスタートしてもうすぐ1か月、小学校では緊張気味だった1年生も、そろそろ校舎内や校庭で元気よく動き回る姿が見られる頃でしょうか。義務教育の9年間、静教組の仲間でバトンを繋ぎながら、学ぶ喜びと希望あふれる学校生活が送れるよう力を合わせていきましょう!

さて、国会を紛糾させている「森友学園」の小学校新設をめぐる問題ですが、認可や用地売買、そして「忖度(そんたく)」…と日を追うごとに疑惑が深まっている状況です。疑惑の解明については、国会審議やマスコミの取材力に期待したいところですが、現在の国会状況ではこのまま終息の方向に向かっていくのではと危惧しているところです。ところで、この「森友学園」問題では、傘下の塚本幼稚園の園児たちが、「安倍首相ガンバレ」「安保法制、成立してよかったです」と叫んでいる映像が幾度となく流されました。当然のことながら、園児たちの顔にはモザイクがかけられていましたが、ネットに載せられた動画は半永久的に残ります。「森友学園」という名前も一連の「問題」もやがて人々の記憶から消えていくでしょうが、純粋無垢な子どもたちの心に「刷り込まれた」観念は無意識なものとなって残り続けるのではないでしょうか。また、いつの日かモザイクのかかった姿が自分であることを知るとき、子どもたちは社会や教育に対してどのような感情を抱くのでしょうか。私は、ニュース映像を見ながら、理事長が関与した不正に対する怒りより、あの園児たちの将来が心配になり、心を痛めていました。保護者はもちろんのこと、学校教育を含めた社会のケアを願うばかりです。

この「森友学園」問題では「教育勅語」が話題となり、その取扱いの是非を巡って閣僚の不適切・不見識な発言が繰り返されました。松野文科大臣は「憲法や教育基本法に反しないような配慮があれば歴史教材として用いることは問題としない」という見解を表明し、義家文科副大臣は、教育現場で教育勅語を朗読することについての国会質問に対して、「教育基本法に反しない限りは問題のない行為であろう」と答弁しました。国会において「排除・失効」が確認されている教育勅語を扱うことは容認する一方で、「安全保障」や「領土・領海」に関する教科書検定では「政府見解」を正解として修正させる姿勢は批判されるべきであると考えます。

以前、この『クリエイティブ発信・静岡』の中で、「朝の来ない夜はない」という私の好きな言葉を使わせていただきました。国内外の政治が「中立性」を欠く中、子どもの貧困や地域間格差、さらにテロや戦争の脅威など、人々にとって「長い夜」が続いていますが、私たち教職員は「朝を迎えに行く」ために目の前の子どもたちに向き合っていきたいものです。

(静教組書記長 赤池 浩章)