号外2016年6月30日
子どもたちのゆたかな学びに向けた協働を〜第66次教育研究静岡県集会開催にあたって〜

静岡県教職員組合
執行委員長
 鈴木伸昭

今年、選挙年齢が18歳に引き下げられることに伴い、「主権者教育」が叫ばれるようになりました。このことについて、私は単なる投票促進教育に矮小化することなく、自らが生きる社会を主体的に形成する態度を育てる機会として、その意義を見出すべきだと考えています。ただ教育現場においては、そのあり方や定義づけを模索している段階であり、戸惑いながらの実践がされていることと思います。現在、静教組立教育研究所においても、より幅広い見方の「シティズンシップ教育」という捉えで、日常の教育実践とどう結び付けていけばよいかの研究にとりかかっています。しかも、選挙年齢に近い高校ではなく、小中学校の段階から「よき市民の育成」はどうあったらよいか、借物でない私たちなりの考え方をまとめ、実践を積み上げていこうとの構想です。こうした新たな課題に対しては往々にして手探りの対応になり、個の対応では手詰まりになりがちですが、その点、研究所のとりくみは県下から集う研究委員を始め大学教員や学識経験者の皆さんが連携したとりくみをしています。こうした「協働」の姿を見て、ゆたかな学びに向けての「協働」が大切であることを再認識しました。

今、経済のグローバル化の進行やIT技術を始めとした各方面の先端技術の進展、そして膨大な情報の氾濫等、これからを生きる子どもたちを取り巻く環境は、想像以上の変化・発展を遂げています。そうした社会において人生を切り開いていくためには、まさに相応の「生きる力」が必要とされ、教育界にその対応が求められていることは否めない事実です。また他方では、子ども・保護者の価値観は多様化し、学校はその対応に苦慮する場面も増大しています。そのため、私たち教職員自身も社会の変化を的確に捉え、従前のままの価値観や指導法に囚われることなく、力量を高める努力が必要とされる状況に置かれています。こうしたことへの対応として、個々それぞれが自ら求めて学ぶことは大切なことですが、それとともに職場に創造的な教育研究活動の輪を広げ、教職員自身もゆたかな学びにむけた「協働」をすすめることが大切ではないでしょうか。今更言うまでもないという学校・地域も多いことと思いますが、そのことが自然に行われているとするならば、先人の努力の下に良き風土が根付いているということです。県下各地で展開される教育実践を持ち寄り、それぞれに込めた様々な思いや考え抜いた工夫をぶつけ合うこと、議論の場に晒すことで次へのステップにつながる課題を見出すこと、子どもの心に響く実践に触れ明日への活力を得ること等、研究交流・協議の場に参加することで、多くの事が得られると思います。

2017年4月から、公立小中学校教職員の給与負担等に関する権限が政令市へ移譲されることにより、県内の教育行政のしくみが変わります。静教組の組織運営や運動の一部もこうした変革に対応すべく見直しを図ってきました。しかし、教育研究活動に関してはこれまでと同様の方針と運営方式を維持していくことを確認しています。各地区で、そして県教研集会で多くの仲間と実践を交流しあい、子どもたちの笑顔と生き生きと学ぶ姿につながるものを得ていただけることを期待します。