第1992号2016年11月10日
三者連絡協議会が静岡式35人学級の改善に向けたアピール文を発表

10月13日に開催された静岡県総合教育会議において、教育委員らから静岡式35人学級の下限を撤廃すべきという意見が出され、川勝知事が「下限撤廃を考えなければならない時期に来ている」と発言したと一部で報道されました。これを受け、静岡県PTA連絡協議会、静岡県校長会、静教組からなる静岡県教育関係三者連絡協議会は、以下のアピール文を発表し、同様の主旨の要望文を川勝知事と木苗教育長に提出しました。

静岡式35人学級の改善並びに豊かな教育環境実現に向けたアピール

次代を担う子どもたちの健やかな成長は、すべての大人たちの願いであり、子どもたちが生まれ育つ地域や家庭の環境に拘わらず、等しく良質な学校教育を受けられるよう環境を整えることは、私たち大人の責務です。近年、学校や子どもたちを取り巻く状況は、年々多様化、複雑化、困難化しています。グローバル化の進展や科学技術の発展等、取り巻く社会の急激な変化は想像以上のものであり、そうした中を生き抜いていく逞しさや確かな知力・体力を育成することが求められています。また、厳しい環境に置かれる時こそ、豊かな感性や相手を思いやる優しさなど、ともに支え合う共生社会を生み出す力も求められます。しかし一方で学校教育ではいじめや不登校の問題を始めとして、日本語指導や特別な支援等が必要な子どもの増加、経済的困窮による教育格差の拡大等の問題にも直面しています。こうした状況に対処するためには、きめ細やかな指導が可能となる少人数学級の推進と必要な人員確保が急務です。

こうした状況に対する取組の一つとして本県では、静岡県の基本目標である「有徳の人」づくりのもと、全国に先駆けた少人数学級編制として静岡式35人学級編制が平成21年から段階的に導入・運用されてきました。平成25年には、国による制度と合わせて公立小中学校におけるすべての学年に適用され、制度上は完成となりました。一学級の人数が減ることで、子どもたち一人一人に目が行き届くようになり、保護者からも「教室に余裕が感じられ、子どもが落ち着いて勉強できている」「子ども一人一人の活躍の場が増えている」「先生と子どもの距離が近くなった」等の感想が届くようになりました。一方で、学級担任外の教職員が減り非常時への対応に不安を感じたり、「下限25人」の制限のため実際には36人以上の学級が存在していたりする課題が生ずることとなり、私たちはその改善を求めてきました。

そのような中、10月13日(木)に行われた静岡県総合教育会議における川勝平太知事の「下限撤廃を考える時期に来ている」との言及は、真の35人学級実現に向けた期待を高めてくれるものでした。「地域自立のための『人づくり・学校づくり』実践委員会」による報告において、「将来を担う人材を育成するため、少人数によるきめ細かな学習環境が必要」とした提言とともに、下限25人の撤廃を含めて必要な人的措置を図るための予算確保等、実現に向けた具体的な議論が進むことを期待します。

私たち静岡県教育関係三者連絡協議会は、県内教育の充実と発展を願い、定期的な意見交換の場を通してめざす教育のあり方を共有する活動を行っています。それぞれの組織の主体性を発揮しながらも良き連携を図り、より良い教育環境の実現や教職員の資質向上に努めています。この度の静岡県総合教育会議の議論を踏まえ、静岡県教育の充実・発展に向け一層の活動充実を図ることを表明するとともに、県及び県教育委員会におかれては、次年度に向け真の静岡式35人学級実現を始め、豊かな教育環境実現につながる予算拡充に向けた検討をいただけるよう強く願うものです。

平成28年10月17日

静岡県教育関係三者連絡協議会
静岡県PTA連絡協議会 会長 川ア秀和
静岡県校長会 会長 渡邉聡
静岡県教職員組合 執行委員長 鈴木伸昭