第1990号2015年10月25日
国境を越えて、これからも交流を 〜オーストラリア教育組合ビクトリア支部との交流〜

8月に静教組が訪問したオーストラリア教育組合(AEU)ビクトリア支部から、メレディス・ピース委員長を団長とするAEU組合員22人が来静しました。静岡県教委表敬訪問、静教組との教育協議会、ホームステイ、学校訪問等を行い、様々な形で交流を深めました。

ホームステイで心と心の交流

AEU組合員は9月22日(木)から25日(日)まで東部ブロックにてホームステイ(賀茂2人、田方2人、東豆5人、三島5人、沼津1人、駿東3人、富士2人)をしました。ウェルカムボードを掲げての大歓迎ムードの出迎えに感激し、笑顔でそれぞれのホームステイ先に向かいました。

9月23日(金)には各地で学校訪問をし、授業参観や子どもたちとの交流をしながら、日本の教育現場を体験しました。英語の授業へ参加したり、書写の授業で毛筆に挑戦したり、オーストラリアでは習慣のない給食や清掃を一緒に経験したりと、充実した一日を過ごしました。

静教組とAEUとの教育協議会

9月26日(月)に静岡県教育会館にて開催された教育協議会では、AEU組合員22人、静教組本部役員9人、各支部支部長14人、静教組立教育研究所 大石茂生所長、県PTA連絡協議会から川ア秀和会長 他3人、県校長会から2人が参加しました。全体会では、静教組から「静岡県における教育の現状と課題」、AEUから「ビクトリア州における教育の実態」について基調提案がされました。その後は、4つのグループに分かれ、学校訪問で参観したり体験したりしたことをもとに、生徒指導、学力と評価、特別支援、研修、教職員の多忙な勤務など、国は違っても共通に抱える課題について協議しました。お互いの状況について情報交換をするとともに、よりよい教育・職場づくりに向けた積極的な意見交換ができました。

オーストラリアの教育実態 〜AEUビクトリア支部 メレディス委員長による基調提案より〜

▲AEUビクトリア支部
メレディス委員長

AEU(オーストラリア教育組合)ビクトリア支部について

組合員数は4万8千人。うち4万3千人が初等・中等学校の教職員で、校長も加入している。組合員は州全域の1500を超える学校に勤務している。

ビクトリア州の教育の現状と課題

ビクトリア州は文化的多様性が極めて高く、住民の出身地は200か国以上、150以上の異なる言語が話されている。学校は、地域の人が集まるコミュニティの中心的存在であり、子どもの未来と私たちにとって極めて大切な共通の価値観に気付かされる場所となっている。しかし、人口増加が著しく、学校・学級数を増やすことが必要であるが、なかなか実現できていない。学校に十分な予算が与えられていないために、学習面や福祉面において課題が出ている。

全国統一テストの成績を上げることへの圧力が高まっている。統一テストへのプレッシャー、テスト対策の授業、教員や学校に対する不当な評価が課題となっている。加えて、学校や教職員が果たす役割に過剰な期待をする保護者がいる一方、学校や地域と実質的なかかわりを一切もたない人もいて、教職員はとても働きにくくなっている。