第1967号2015年10月25日
国際的な視野で、教育を考える −オーストラリア教育組合ビクトリア支部との交流−

8月に静教組が訪問したオーストラリア教育組合(AEU)ビクトリア支部から、メレディス委員長を団長とするAEUの組合員21人が来静しました。静岡県教委表敬訪問、静教組との教育協議会、ホームステイ、学校訪問等を行い、様々な形で交流を深めました。

ホームステイで心と心の交流

AEU組合員は9月24日(木)から27日(日)まで西部ブロックにてホームステイをしました。ウェルカムボードを掲げての出迎えに感激した様子で、ホストファミリーの組合員と和やかに自己紹介をし合い、それぞれのホームステイ先に向かいました。

9月25日(金)には学校訪問をし、授業参観や子どもたちとの交流をしながら、日本の教育現場を体験しました。外国語活動の授業に参加したり、書写の授業で毛筆に挑戦したりして、充実した一日を過ごしました。

週末はホストファミリーと過ごしました。別れの場面では、写真撮影をしたり、抱き合ったりして別れを惜しむ姿があり、思い出に残るホームステイとなりました。

STUとAEUとの教育協議会

9月28日(月)に開催した教育協議会では、AEU・静教組の組合員以外にも、県PTA連絡協議会や県校長会の代表者が参加しました。静教組からは「静岡県における教育の現状と課題」、AEUからは「ビクトリア州における教育の実態」について基調提案をした後、協議をしました。学校訪問で参観したり体験したりしたことをもとに、生徒指導、学力と評価、研修、教員の多忙化など、国は違っても共通に抱える課題について、積極的に意見交換ができました。

オーストラリアの教育実態 〜メレディス委員長による基調提案より〜

▲メレディス委員長

オーストラリアの教育制度

各州及び準州政府が教育行政の責任を担っているが、予算は連邦政府と州政府双方から出ている。この数年で、新たな全国統一カリキュラムの導入がすすめられているが、全国共通の教育課程が敷かれるのは初めてのこと。

ビクトリア州の教育の現状と課題

全国統一テストによる「読み・書き・計算」の成績を上げることへの圧力が高まっている。統一テストへのプレッシャー、テスト対策の授業、限られたデータを基にした教員や学校に対する不当な評価が積み重なって、教員はますます働きにくくなっている。純粋に子どもの学びに役立つ教育活動以外のことに気を取られることがあまりに多くなっている。

来静AEU組合員の声(学校訪問、ホームステイを通して)
  • 教員と子どもとの信頼関係ができている。それが学習に向かう姿勢につながっていると思う。
  • 規律があり、子どもたちがそれぞれの役割を果たしていた。子どもたちが自分で行動していた。
  • 小学生とは思えないレベルの高い授業だった。オーストラリアでは難しいので感動した。
  • ホームステイをした際、日本の教員の多忙な状況を目の当たりにした。オーストラリアでは考えられないのでショックだった。